知られざる職種 アグリゲーター 5年後に主役になる働き方 柴沼俊一、瀬川明秀(日経BP社)
最近よく目にするキーワードに、
”人生二毛作、三毛作”、”副業(会社勤めしながら)”、”働き方改革”、などがあります。
これらのキーワードからは、個人の生き方を変えなければならない節目のタイミングであるように感じます。
個人が今までと同じマインドや行動様式で働いても、大きな利益が得ることができない、充実感を得ることができない、といった時代になっていくかもしれない、という感覚があります。漠然とした不安にすぎないのかもしれませんが。
とはいえ現実的に、AIやIoTなどにより利便性や効率化はどんどん進んでいくでしょう。テクノロジーの発達により具体的な仕事内容のうち作業のウエイトが減り、より戦略的なアイデア、創造的な切り口から仕事を新たに作っていくような企画力が求められる時代になっていくように思われます。
では、どのようなマインドで、どのような働き方をすべきなのか、という問題意識を持って本屋をさまよっていた際、表題の書籍が目に入りました。
個人的な表現でまとめると、要点は以下の3つになるかと思います。
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1.企業も個人も、並行した改革が必要
2.個人はアグリゲーターを目指し、企業はアグリゲーターを生み出す環境となれ
3.社会の変化に適用できる人材を目指そう
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1.企業も個人も、並行した改革が必要
・ 個人は、企業にぶら下がって仕事をしているだけでは安心できない
・ 企業は、個人を統制するのではなく、より活かすための環境づくりを進める必要がある
⇒ 要するに、適切な表現かはわかりませんが、
今まで: 個人は企業の構成要員にすぎない(企業の売上・利益を最大化させるための要員にすぎない)
これから: 個人は企業が活かすべき存在であり、個人も企業を通して成長しステップアップしていく存在
と言えるのではないかと感じました。
書籍の中では、ニュートン型組織とダーウィン型組織、という表現でしたが、トップダウンの経営組織だけではなく、これからはよりベンチャー企業や”アメーバ経営”などにみられる、小単位で経営責任を負いながら意思決定や試行錯誤をどんどん実施する組織体制も必要である。ということです。
トップダウンの組織ではなく、ダーウィン型組織のように試行錯誤を行いながら新規事業を開発していくような動きこそ、これからの時代に必用な組織体制であることは間違いないでしょう。ただし、組織の規模によっては、いわゆるトップダウン的な、ニュートン型組織の体制が必要な面も当然あります。
個人としては、時代の流れに沿って、必要となる組織体を認識し、自分が属している組織のなかで最もダーウィン型な組織に属してチャレンジしていくことができると成長速度を速めることが可能ではないでしょうか。こうした環境からリーダーが生まれ、本書のタイトルにもある、「アグリゲーター」と呼ばれる人が生まれることになります。
企業としても、組織内の個人が成長することは非常に意義があることです。それから離職されると辛いところではありますが、離職率を抑えるためには、という話は本書の内容ではありませんので割愛します。
2.個人はアグリゲーターを目指し、企業はアグリゲーターを生み出す環境となれ
・ アグリゲーター: 変化の時代に自立的に働くことができる個人
⇒ 新しい時代に、新しい価値を提供できること。
イシューを見つけ、問題提起を行い、課題解決を行うことができること。
という人々が、変化の時代にあって自立的に働くことができる個人だと思います。
時代の少し先を読み、人々が求める(結果として便利だと認識して利用するような)サービスを開発提供するなど、社会に価値を提供できる個人となれば、どこに在籍しようが生きていくことができます。
企業としては、そうした個人が多数所属していることのメリットが大きいことはいうまでもありません。
これからの時代、単純に収入を増やすための副業だけでなく、社会に価値を提供したい(自己実現、成長をモチベーションにして仕事したい)、それこそ自分ができることや好きなことで仕事をしたい!という人が増えていくと思われます。
それはつまり、トップダウン型の組織体には収まらない人々が増えていくことだと思われます。
個人的には、そんな人材に自分自身もなって、日本が活性化されると素敵だと思います。
3.社会の変化に適用できる人材を目指そう
・ ①価値観 ⇒ ②行動様式 ⇒ ③制度・ルール
⇒ こうした順番で、社会は変化する、といいます。何年か後には、”企業”と”個人”の在り方は大きく変わっているかもしれません。
例えば、未来の仕事はほとんどがプロジェクトベースで、個人事業主としての個人が、企業と業務委託契約を結ぶ、ということが標準になっているかもしれません。
アグリゲーター、という言葉自体、あまり聞いたことがなかったので、
どんなものかなあと思いましたが、非常に興味深い内容でした。
この書籍が2013年ですから、2018年ごろには、アグリゲーターとしての働き方こそ主役になるのだ!ということになりますかね。
時流に乗っていけるように、自立的に働くことができるような人材を目指していきたいものです。
以上。